ヤモリの冬眠って聞いた事ありますか?
日本全国に生息するヤモリは、私たちの生活圏内でよく目にする生物です。このため、ペットとしてヤモリを飼いたいと考える人も珍しくありません。
日本古来のヤモリではなく外来種では「ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)」などは多くに方が飼われています。
しかし、日本固有のヤモリの飼育においては、特に冬の時期に注意を払う必要があります。
この記事では、ヤモリが冬の期間をどのように過ごすのか、またその飼育の工夫・温度について詳しく説明していきます。
この記事を通じて、ヤモリを冬季に安全に飼育するための方法を詳細に解説します。ヤモリの飼育に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
ヤモリは冬眠をするの【そもそも論】?
そもそも……ヤモリは冬眠する生物ではありません。
変温動物であるヤモリは、自分で体温を調節する能力がないため、冬が来ると外気温の低下に伴って体温も下がり、その活動が鈍くなります。
寒くて動けない(動きにくい)状況、ですね。この状況を冬眠と勘違いしてしまいがちです。
寒い時期はヤモリの代謝も低下し、食欲も落ち、静かに過ごす時間が多くなりますが、これは冬眠とは異なる行動です。
温度が上昇する日には、活発に動き出し、食べ物を探すこともあります。
だから、寒すぎる状況が続くとそのまま命を落としてしまったりもするし、一気に気温が下がりそのまま活動が鈍くなると…暖かいときに食べた(本来は昆虫食)ものがお腹のなかで腐ってしまったりします。
ヤモリは冬眠しないが「冬眠っぽい」状況にはなる、これは覚えておきましょう。
冬眠しないでヤモリはどこで何をしている?
冬季、特に11月から3月にかけての低温期間には、ヤモリは「活動量」が落ちるので穏やかに過ごすことが多くなります。
「冬眠っぽい状態」の時にヤモリはどこにいるのか?
住宅の外壁の隙間や天井裏など、風の動きが少なく比較的暖かい場所で過ごすことが一般的です。
植木鉢の下、木の穴、朽ちた木の隙間などに隠れることもあります。室外機が熱を持つ場合その近くだったり、仮に家の中だとしたら冷蔵庫の近くだったり。
また、冬季には複数のヤモリが一か所に集まって過ごすこともあります。
じっと、活動をおさえて暖かくなり、代謝もあがり動きやすくなるタイミングを待っているのです。
ヤモリが冬眠っぽくなる温度は?
ヤモリは気温が5度を下回ると、ほとんど活動をしなくなります。
特に1月から2月のような寒い時期には、数匹のヤモリが一箇所に集まり、越冬する様子が観察されることがあります(ことがある、というだけで常に集まっているというわけではありません)。
寒い時期にヤモリを飼育する際=野生の環境下とは違うわけですからこれらの点に注意を払い、ヤモリが快適に過ごせる環境を提供することが大切です。
ちなみに、ヤモリといっても「本来の生息地」はマチマチ。
ペットヤモリで大人気のヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)などは暖かい気候の生き物なので25度を下回ると食が落ちてきて、20度以下にすることは(普通に飼うにあたっては)推奨されません。
ヒョウモントカゲモドキに関しては
→ヒョウモントカゲモドキの飼い方 冬の対策はパネルヒーターだけは?
これらの記事をご覧ください。
ヤモリの冬季飼育における注意点
日本の多くの地域で見られるヤモリは、地域の冬の気候に順応しています。そうじゃないと、冬を乗り越えらず全滅してしまいますから。
しかし、「飼う」となった場合、室内温度が急激に変化すると、ヤモリはストレスを感じることがあります。
この急な温度変化は、ヤモリの健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、温度管理は非常に重要といえます。
特に、室温が急に下がるとヤモリの消化器系に問題が生じることがあるため、安全に飼育するためには室内の温度を一定に保つことが必要です。
そのために「人間の」室内をエアコンやストーブなので温度を上げる事も必要ですが…
パネルヒーターの使用
冬季においては、パネルヒーターの設置が推奨されます。ヤモリのケージ内温度は20度以上を維持することが望ましいとされています。
パネルヒーターはケージの下に敷いてケージ内を温めるもの。
人間でいうならホットカーペットのようなものです。
また、爬虫類や小動物の飼育でよく使われる「暖突」などのアイテムをつかうことも有効です。この場合、温度の安定を図るために、サーモスタットの使用も重要です。
このアイテムは人間でいうところの「エアコン」みたいなものです。
室温が急激に変化すると、ヤモリに限らず他の生物にもストレスを与えてしまうため、特に夜間の温度低下には注意が必要です。
床を温める/空気を温める、それぞれ役割が違うので適切に扱っていききましょう。
そして当然ながらヤモリのケージ内の温度を知るために温度計の設置も必要。
ヤモリは比較的飼育しやすい爬虫類ですが、温度計を設置して室温を適切に管理することが非常に重要です。低温環境下ではヤモリの代謝が低下し、食事量も減少します。
いっぽうで、高温環境ではヤモリはより活発に動き、食事量も増えます。
一年を通じて一定の温度を維持することで、食事量が安定し、飼育が容易になります。そのため、パネルヒーターと温度計を使用して、一年中安定した温度環境を提供することが推奨されます。
「あえて冷やす」ヤモリの繁殖のためのクーリング
ヤモリの温度が下がることは良くない事…として書いてきましたが、「あえて」温度を下げるということもあるにはります。
それはヤモリの繁殖行為を促す時、です。
ヤモリを繁殖させるためには、「クーリング」と呼ばれる方法で室温を下げる必要があります。
冬の環境を模倣することにより、ヤモリに発情を促すことができます。
寒い冬→暖かい春
これを体験させることで「やる気スイッチ」を刺激してあげるというわけです。
飼育ケージは、霜が降りない程度の安定した場所に設置することが重要です。繁殖を目的とする場合、約2ヶ月間のクーリング期間が適切とされています。
12月から2月にかけて室温を1度ずつ様子をみながら下げて冬眠(っぽい)状態にし、その後徐々に1度ずつ室温を上げていくのが良いでしょう。
これを可能にするには(野生下ではなんとかなってしまっているものの…)やはり温度のコントロールが大事です。
クーリングを始める前には、胃の中に食事したものが残っているとそのまま腐ってしまうおそれがあるため、ヤモリがフンをしたことを確認し、その後温度を下げることで「事故」を減らすことができます。
実際問題、野生のヤモリの何割が冬を「野生の状況」で無事越すことができているのかは分かりません。
ほぼ問題なく冬を越せているのか、実は野生のヤモリの多くは……なのか。
だから、自分でヤモリを飼うとなったら「しっかりと」温度調整をして過ごさせてあげたいところです。
まとめ
そもそもヤモリは冬眠しない、ですが気温が下がると活動量がへって冬眠「っぽく」なる。
命を落とす危険もあるのでヤモリを飼育する時は、パネルヒーター他、温度を上げるアイテムで適温を保ってあげることが重要です。
また、「繁殖」が目的であれば、危険性を承知の上で「冬眠っぽく」して疑似的に冬→春の温度さを体験させることで、繁殖の行動に移りやすくなります。
ヤモリを「飼う」というのは人間の業なので…少しでも生活しやすい環境を作ってあげたいですね!
Leave a comment