年間を通して実施される健康診断では、検便が一般的に行われています。最近では、この検査を追加オプションとして取り入れる企業も増えてきました。
検便の主な目的は、便に含まれる隠血を調べることで大腸がんを早期に発見することにあります。
ただし、「2日間法」として知られる2日間にわたって=計2回検便を集めることは、多くの人にとって面倒に感じられます。
便秘や下痢に悩む人にとっては、2回のサンプルを適切に集められるかが心配事の一つです。
「昨日集め忘れた!」と健康診断当日に焦ることも少なくありませんし、「明日、便が出るかどうか分からない」と懸念する人もいます。
・同じ日の便を提出しても大丈夫なのか?
→毎年のように私は考えます。
・2回=朝と夜に分けて提出すれば問題ないのでしょうか?
→検査前日にワチャつきます
このような検便に関する疑問や不安に対して、「同じ日に検便を2回提出する際のポイント」についてお伝えします。
ご参考になれば幸いです。
もくじ
なぜ健康診断では検便を2回行うのか?
健康診断で検便が2回行われる理由を掘り下げてみましょう。
便の隠血反応を調べるこの検査は、大腸や直腸、胃、十二指腸などの消化器官からの出血を検出し、がんやポリープの有無を判断するための重要な手段です。
特に初期の大腸がんの場合、出血が常にあるわけではありません。
そのため、2日に渡ってサンプルを提出することが推奨されています。この方法により、どちらかのサンプルで陽性反応が得られた場合、消化器系の疾患の発見可能性が高まります。
進行した大腸がんではほとんど常に出血が見られるため、2回のサンプル提出により隠血反応の検出率はさらに上がります。
2回サンプルを正確に提出した場合、隠血の有無を90%以上の高確率で検出できるとされています。
しかし、3日間にわたってサンプルを提出したとしても検出率が必ずしも上がるわけではなく、大腸がんやポリープ以外の理由で陽性反応が出るケースも増えるため、2日間のサンプル提出が現実的な選択とされています。
メンドウですがちゃんと検便の2回には意味があるんですね。
同じ日に便サンプルを2回とることに問題はないのか?
健康診断で行う検便は、消化器系からの出血を見つけ出し、より詳細な診断を下すために、普通は2日間に渡って行うサンプリングが推奨されています。
しかし、便秘やその他の理由で2回分のサンプルを集められない場合や、採取を忘れた場合でも、1回分のサンプル提出だけで診断に有用な情報を提供できることがあります。
最初の採取機会で得られたサンプルだけでも、それを提出することが推奨されます。
1日で2回検便を取るとバレる?
一部の人々は、同一日にあるいは同じ便から2回分のサンプルを採取し、2日分として提出する選択をします。
この行為が検査を実施する側に発覚することはほとんどないですが(だからバレるバレないで言ったらほぼバレない、です)、この方法では…
そもそもの検査の目的である大腸がんなどを早期発見する貴重なチャンスを逃す恐れがあります。
ちなみに私は、検便で便潜血と診断されて検査を受けましたよ…
(結果、何もありませんでしたが…)
バレるバレないはともかくとして、検査の目的は忘れずにいたいところです。
検便時の生理周期についての対策
便潜血検査は非常に敏感で、目に見えないほどの微量の血液も検出できます。
そのため、検便の採取期間中に生理が始まった場合は、その期間中は検便を避けるべきです。
もし、生理前に1回目のサンプルを採取でき、2回目が生理中になる場合は、最初のサンプルのみを提出することになります。
検検便の採取開始時期について
「便秘のため、いつから検便を始めれば良いか?」という質問に対して、多くの医療機関や健康診断センターがウェブサイトで答えています。
便秘で悩む人でも、健康診断の数日前から準備を開始できれば安心です。
検便で調べるヘモグロビン含有の赤血球は破壊されやすいため、理想的には健康診断の前日と当日に採取するのが最善です。
しかし、それが難しい場合でも、4日前から採取を開始することは可能です。2日前や3日前からの2回分の採取も許容されており、連続していなくても問題ありません。
毎日快便でない人は、健康診断の4日前から検便容器を持ち歩き、「出たらすぐに採取する」準備をしておくと良いでしょう。
ただし、採取したサンプルを常温で保管すると、ヘモグロビンなどの成分が分解されてしまい、正確な検査結果を得られなくなる可能性があります。
健康診断の3~4日前に採取した便は、品質を保持し正確な検査結果を得るために、冷蔵庫で低温保存することが推奨されています。
(まあこれがイヤな人がいることは分かりますが…)
検便時に遭遇する問題と対応策
毎年行われる健康診断や企業の検診での検便は、時に思わぬ問題に直面することがあります。
特に検便に不慣れな人たちは、どのように採取すればいいのか迷うことがあります。ここでは、検便時によくある問題と、それらを解決する方法を紹介します。
・下痢や軟便の場合の採取法
検便期間中に下痢や軟便が続くと、採取が難しくなることがあります。
しかし、便の固形部分を見つけて採取するか、採便スティックを使って便を均一に塗り広げ、スティック全体に便が付くようにすることで対応できます。
・トイレに沈んだ便の扱い
トイレに沈んでしまった便は、検検便として使用しないほうが良いでしょう。
消化器官からの出血による血液が便に混じっていた場合でも、一度水に沈むと血液成分が薄まり、検便の正確性が損なわれる可能性があります。
・固形便の適切な採取方法
便潜血検査で固形便を採取する際には、便の外側を軽く擦ってサンプルを取るのが適切です。
この検査の目的は、消化管での潜在的な出血を見つけることですので、腸に直接接触していた便の表面からサンプルを採る必要があります。
便が硬い場合には、採便用具を使って穴を開けるのではなく、少し水を加えて柔らかくした後に採取します。
ただし、水を加えすぎると便中の血液成分が薄まり、検査結果に影響が出るため注意が必要です。
便潜血検査で陽性が出た場合の対応
健康診断や人間ドックで便潜血検査の結果が陽性であることが判明した時、その意味するところを理解していない人が多いようです。
陽性結果が出ても、すぐに精密検査を受けることなく放置してしまうことも少なくありません。
陽性反応が出たからと言って直ちに大腸がんであるとは限りませんが、肛門の細かな傷や痔からの出血が原因である可能性もあります。
しかし、2日間に渡る検査で1回でも陽性が確認された場合は、健康診断を受けた施設や近くの内科・外科・消化器科などで追加の診断を受けることが推奨されます。
かかりつけの医師に相談するのも一つの方法です。内視鏡検査や大腸バリウム検査など、追加検査は恐怖を感じるかもしれませんが、早期発見・早期治療が可能になります。
潜在的な問題を見過ごさず、精密検査を受けることが重要です。
検便の際に留意すべき点と解決策
この記事では、人間ドックや職場で行われる健康診断における便潜血検査の重要性と、それに伴う様々な問題にどう対処すればよいかについて考察しました。
便潜血検査で2回分の便を採取できなかった場合でも、まずは1回分だけでも提出することが大切です。
同じ便から2回分採取することは推奨されませんが、肝心なのは検査を通じて疾患を早期に発見する機会を活用することです。
健康診断の数日前から採取を始めることができますので、便秘に悩む方は早めの準備を心がけましょう。
採取した便は適切に保存しないと、検査結果に影響が出る可能性があるため、冷蔵保存することを推奨します。
便潜血検査の結果が陽性であってもすぐに重大な病気とは限りませんが、専門医の診断を受け、必要ならば精密検査を行い、適切な治療を受けることが肝心です。
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